融けるものなど、ない
clef
荒
(
すさ
)
ぶりの手のひらを返して
寝息の間に
水を汲みにいく
逃げ出さない太陽のしるしと
ガラス窓の四辺に溶けこむコールサックの黒煙を
一枚ずつめくりあげる
この程度の渇きなら
砕けるものも
破れるものも
ない
ともすれば 凭れかかりそうになる杖がわりの傘に
反転した像が映り込むでもなく
ぬかるんだ舗道を
ただただ 会いにゆくためだけに
歩いている
歩くほど遠く
融ける溶ける
熔ける
自由詩
融けるものなど、ない
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clef
2008-02-27 14:24:16
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