白夜子
ヨルノテガム






雪は

夜と共に眠る


家々の景色はどこまでも均一に膨張し
泣く子や悪魔や憎悪をシラッと黙らせてしまった

たった一日に結晶された冬
道や隔ての無い大体の銀世界が現れて
全てが再生への静寂を待つ

命を転がして
太らせて
目や鼻や口、帽子や手や出べそをつけ
空虚で充満した分身の人間を創り出す
それは かすかな祈り。
白夜は祈りの目的を凍らせる

冷えきった両手へ息を吹きかけること自体が
「願い」の象徴的な行為のように思える

手が少しでも温まったら
もっとフザけて おどけて
この途方もない綿菓子を
つねったり、持ち上げて 落としてみる


誰も居ない景色が 温かな夜である














自由詩 白夜子 Copyright ヨルノテガム 2008-02-26 17:03:18
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