Air
海月

何も感じずに日々が流れていく
音も無く
感触も無く

十時十分の腕時計の意味を知らない
通販番組の悲しい電話が響く

教室の中で私がいないことが当たり前になっている
最初は友達は心配してくれた
だけど
月日が流れるにつれて誰も来なくなった
窓の外では車が遠くに進んでいる

老人の会話が廊下に響いた
不快な気持ちになった
理由はわからなかったが
吐いた

ナースコールを押した
新人から成長した人が来た
面倒臭そうにしていたので
苛立ちが最高潮になった

昼食を扉に向かって投げた
食器が割れた
ごはんやオカズが散らばった

誰かに助けて欲しかった
話し相手が欲しかった

退屈に空を眺めた

私のことをKYと言われた
辞書を調べても載っていなかった
意味が気になり、新人の看護士に聞いた

空気が読めない

空気が読める場合は

そんな風だからKYと言われた

部屋に篭って考えてみた
誰も空気は読めない
ただ、空気を「くうき」と読むことなら出来る

私は空気になった
誰か私を見つけることは出来るのだろうか?


自由詩 Air Copyright 海月 2008-02-21 23:26:04
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