ドライフラワー
sekka

つきあって一周年の記念に
バラを一輪もらった

花が欲しくて欲しくて
あなたから贈られたくて
せがんで だだをこねて
やっと初めて貰った一輪

二周年には二輪ねって言われて
はしゃいで喜んだ笑顔の裏で
百輪の花束をもらえることはないのか
と計算したことを悟られないように

ドライフラワーにするといいよ
とあなたは言った

ドライフラワーがいっぱい
飾られた部屋で笑う女の人を想像した

ドライフラワーも造花も
嫌いだったけど 言われたとおり
一輪のバラに水も与えず
逆さまに宙吊りにして
蕾のまま枯らした

それから
二周年を迎える前までに
たくさんの花をもらって
私の計算がばれたのか知れないけど
ドライフラワーにしたのは
あの一輪だけ

他の花は
水を吸い込んで
こぼれるように膨らんで
香りを撒き散らして
花びらの一枚一枚を落としながら
身を焦がしていった

彼とは別れて
私の部屋には息を止めたような
蕾のドライフラワーが一輪だけ残った

会わなくなってから一年が過ぎて
私は息を止めて
ドライフラワーを掴んで
燃えるゴミに捨てた

ドライフラワーも造花も
嫌いだったけど

ドライフラワーにするといいよ
とあなたは言った

ドライフラワーがいっぱい
飾られた部屋で泣く女の人を想像した













自由詩 ドライフラワー Copyright sekka 2008-02-19 23:19:59
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