◆てんとうむし
千波 一也




天を問う声に季節はすみついて羽はだいだい地を駆けめぐる





おのが目に降り積むものを焼き払え隔たり持たぬ点灯のため


くらやみにうごめくものを虫と呼ぶひかり求めて心、おのおの


一瞬の憂い、あこがれ、とめどなく試し試され点灯のむし





ささやかな転倒ひとつも気にかけて雲にざわめくたおやかな羽


起きあがるいわれを眠る土のうえ今日も上手につまずいて、そら





もの言わぬお天道さまにもの申す、くすぶる匂いの恥ずかし恋し





ひとさまに買われるような質もなくわが身になじむ品定めかな


店頭に春夏秋冬欠けずともわれは至らぬ具足でありたし





天を問う声こそつい住処すみかなれ我が身にあまる片隅の隅





七つ星、叶わぬ末となろうとも背に負いつづけむしの定めに












短歌 ◆てんとうむし Copyright 千波 一也 2008-02-17 14:10:28
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【定型のあそび】