白い陽射し
いねむり猫

冬の白い陽射しに かすかに 力が込められた

木の葉を透かした光
春の芽吹きを予感させる 柔らかな緑が届く

晴れ渡った朝 昨夜までの厳しい氷風は 
少しだけいねむりをしている

人々の陰鬱な暗い色のコートの襟から
鮮やかな原色のスカーフがこぼれ出ているように
厳冬の中に 春が差し込まれている

胸をかすかにゆさぶる春のかけらは 
からだの奥底にしまわれている
忘れられた詩集を開くように誘うのだ

小さな声で歌われる詩
暗い書庫の奥で 小さく 強く 輝く光は
やがて かたくなに体の熱を守ろうとする
球根の殻をほぐして
冬の風に重く沈む隣人たちへ 
笑いかけ
分厚いコート越しに 
体をぶつけ合ったり
くすぐりっこしたり

さざなみのようなクスクス笑いが
北風を起こさないように
街に広がっていく

白い陽射しの中に 春がしのび込む


自由詩 白い陽射し Copyright いねむり猫 2008-02-17 09:23:27
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