白い大きなシャツを着た
無邪気な少女が
駅前のロータリーに
集う鳩の中心で
詩の朗読をはじめた

僕も鳩に交じって
道路にダンボールを敷いて
排気ガスを吸いながら
彼女の言葉を聞いた

東京の唄だった
ホットペッパー最新号でーすと
連呼する
東京の唄だった

いつのまにか
隣に座っていた
色とりどりの衣を
まとったしわしわの男は
たちあがり
しゃがれた声で
右腕を光の方へ
突き上げて叫んだ

東京のBIG ISSUEだった
少なくても僕には
BIG ISSUEだった

緑色のバスが
周囲をぐるぐると回り
太陽は東から
南を通過して西へと
一寸のくるいもなく
日々の勤めを終え

脱力した人たちが
朝よりも乱れた髪で
駅前から溢れ出してくると

白い大きなシャツを着た
無邪気な少女が
駅前のロータリーに
集う酔っ払いの中心で
また詩の朗読をはじめた