重影
こゆり

整然と並ぶ
薄暗い部屋で
こんなに人がいるのに
と思う

誰にも会わない夜
誰にも会わない朝
白く濁す冷たい空気が
わたしの存在を確認する

研ぎ澄まされて

幸運かどうか分からないが
わたしのアンテナは
微弱な電波に
よりいっそう反応して

悪癖かどうか分からないが
わたしの電波は
その微弱な電波に
重なろうとする

波形が似ているんだ
始まりから終わりまで

それはまるで
心拍が重なり合うように
不規則なリズム
弱さの中の

誰かと過ごした夜
誰かと迎えた朝
白く濁す冷たい空気が
わたし達の存在を確認する


ずっと、好きです


自由詩 重影 Copyright こゆり 2008-02-16 20:05:32
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