境界線
こゆり

あなたの住む街へ行こう
そう思う

そして
意図的な偶然で
何食わぬ顔をして

あなたに道を
尋ねるんだ

一緒にいることは
できないけれど

それでも
せめてわたしにできること
あなたの住む街へ



ずっと見上げていた
空は
続いている
そう思っていた

でもそれは
直線的で

本当の空は
さらに上空で
海と
溶け合って

太陽が
いつもより熱く輝き
雲は
海に浮かぶ

わたしは
迸る雨粒を頬に
虹の輪の中
跡を残す

本当は
こんなに穏やかなのに

わたしは

目を細めて見渡すと
輪郭は融合し
青白くゆるやかな
弧を
途絶すことなく
描く

それこそが真実で

それでもわたし達は
角ばった直線の中
点在する多くのものを選んで
生きていく

それが真実ではないと
そう解っていても

窓の外を見つめる
わたしは
小さな存在ではあるが
あなたの幸せを
心から
願う

わたしを残して
墜ちる魂を
愛おしく

それは
角ばった直線の中の
唯一の真実


自由詩 境界線 Copyright こゆり 2008-02-12 21:21:22
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