ビブラート
こゆり

海面を
半音ずつ上下させ

間隔を
少しずつ狭めていくと

音もなく
止まったように

張り詰めた海面は膜を張り
そのずっと深くに沈んだわたしを
柔らかく包み
すくい上げる

夕日は
震えるわたしを照らし
眩しいので
孤独を
思う

そんな人が
まわりにけっこういて
気づけば
いろんな人が
いた

わたしは
あなたの手を取って
短く
その時を刻む


自由詩 ビブラート Copyright こゆり 2008-02-09 16:12:22
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