20080208
藤野鞠子

全部さらけ出して
書き留めていくのなら
ひとりになるしかない

でも
どこへ行きたいの
なにを生みたいの

高いところから吹く風に
足もとをとられて

きみにしか通じない言葉で
しゃべれたらいいと思った
いまは
きみにだけ通じない言葉が
ほしいよ

どす黒いとかげたちが
喉の奥からあふれだしそうだった
簡単になにかを台無しにしてしまう
だけど
なんどでもなんどでも吐き出して
吐き出して それから
日の光のもとで抱きしめたら
とかげは泥を脱ぎ捨てて
鮮やかな花や緑のように
輝くかもしれないって
思ったんだ

生きていたい
生きていたいって
なんどもいった
きみには届かなかった
あきらめるのも
怒り出すのも
自由だけれど
生きていたいって
言ってたんだよ

この祈りがきみを
傷つけるのなら
もう身動きがとれなくなる
ここに並べたものを
見ないで
見ないで
ガラクタじゃないから
見ないで

とかげたち
光の下で跳ね回れ
雫にまみれてまぶしいくらい
好きなように
思うままに
それで
きみに聞こえないように
きみに聞こえないように
わたしは叫びつづける

生きていたい
生きていたいって

きみは
どこへ行きたいの
なにを生みたいの
わたしは
ただ
生きて
いたいの

全部さらけ出して
書き留めていくのなら
ひとりになるしかない
そんなのわかってる

ただ
いたいの



自由詩 20080208 Copyright 藤野鞠子 2008-02-09 00:37:46
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