土にひらく
木立 悟




ひとりのための会話を照らし
光は深く息をしていた
遠すぎる背の
土を信じた


熱はどこかへ
到くはずだった
ゆうるり巡る
直ぐに見える道
終わりのような緑だった


誰もいない巨きな家に
誰もいない空が乗り
家は見えなくなってゆく
家は 冬になってゆく


流れが
ほんのわずかだけ細くなり
あたたかくなりすべらかになり
揺れ動くものたちを
映しはじめた


花びらの毒
渇く指
雪なき冬の 炎の街の
土に臥して


たたかいは終わるだろう
奪うもの燃すもののはざまにくすぶる
渦のかたちを見るだろう
残された片方の目を閉じて
熱のはばたきを見るだろう


湿ったままの服があり
静かに手のひらを握っている
水たまりと水たまり以外を分けるように
兄妹たちのうたがつづいている


髪を梳く 雪がくる
髪を梳く 雪がくる
息にひらくもの
土にひらくもの
触れられては触れ 
かがやきゆくもの














自由詩 土にひらく Copyright 木立 悟 2008-02-07 19:36:34
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