見上げた冬の曇り空は白く暗く廻り
beebee





誰にだって忘れられない人がいると言うけど、
そんな時想い出すのは
自転車にのって走り回った中学生の時
掴まり立ちして僕に命令した君かな?
あの時背中に密着した君の身体の温もり
なんだか急に思い出されて来た遠い記憶に
身体が温かくなる
そう言えば登り切れない土手の斜面に二人
身体を放り出して
息を継ぎながら見上げた冬の曇り空は白く暗く廻り
君は笑っていたね
根性無し!
言われたっけ
冷たい空気に君の身体が温かだった
僕の身体が熱かった
鈍い疲れも
倒れ込んだ痛みも分らないまま
笑って見上げた曇り空が白く暗く
映画のカメラのようにぐるりと廻り
ぼくは眼をつぶった
身体も心も自由だった時間が確かにあった
思い出した
君の横顔
忘れられないや
自転車のペダルを止めて鳴るチェインの音
立ち漕ぎに足下に力を込めた感触
肩を強く握った君の手の感触
両頬を通り過ぎる風の音
鮮やかに蘇る
君への想い
ぐるりと廻る白く暗い曇り空
遠い昔の出来事





自由詩 見上げた冬の曇り空は白く暗く廻り Copyright beebee 2008-02-05 21:52:13
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