月のない夜
佐々宝砂
ここがどこかわからない
灯りは煌々と道路を照らしている
壁のように積まれたプラスチックパレット
無人のフォークリフト
コンテナ
なぜここに来たかわからない
すこし伸びをすると
手が届きそうで届かないところに
駅の灯り
あそこまで行けば家への道がわかるのに
ここがどこかわからない
どうすればあそこに行けるのかわからない
思考がぐるぐるまわるように
足もとがぐるぐるまわる
なんて歩きにくいんだろうと
足もとを見れば
片方の靴がない
どうまかりまちがっても
シンデレラではないのに
片靴であるく
月のない夜
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創書日和、過去。