◆幻想連鎖
千波 一也
おだやかな雨のすきまのファンタジア、合わせ鏡に時計を捨てて
お逃げなさい、鳥のかたちの切なさよ翼が翼を捨て去るまえに
細々と千切れて可憐な嘘ばかり燃やせやしない夕暮れのなか
夕暮れのピアノに満ちる地平線ゆびさきにおうマゼンタの砂
砂粒を盗む涙をつかまえた枯れない花野みかづきのうみ
真夜中にひとつの舟の過ちが拾われてゆく花を咲くため
透きとおる命のありかを燃やす舟ただ音もなく対岸になる
燃やすほど樹木の肌はざわめいて群れなす風の孤独を浴びる
ピリオドは氷を嫌う風として渡り続けるプロペラの音
あといくつ乗り継ぎゆけば星になる氷のしたの炎をいくつ
忘れなさい、羽ばたけばなお射抜かれます剣をもって星影たちは
閉ざされた階段に射すハーモニー、闇も光もひとしくかなしい
目覚めたらそれがはじまりラビリンス、硝子の響く階段のなか
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【定型のあそび】