そのもの
望月 ゆき

ここに来るまでずっと
つま先だけ
見ていた

たどりついたとき
誰かが待っていて
ほめてくれたりする
どこかはどこ

軒下に避難した朝顔も
こうべを垂れるので
昨夜から宿っていた雨粒は
無抵抗にしたたる

天気予報にせかされて
踏み出す
朝顔はもとの場所へ

もはや
足跡は重要ではなく
大切なものは足、そのもの。
つま先はそれを知っている

そのものの健在。




自由詩 そのもの Copyright 望月 ゆき 2004-06-24 01:29:58
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