連綿不在
本木はじめ




待ち合わせ場所はどこかの曇り空ばかりが続く駅かバス停



大波が小波を飲み込むように冬 芒ヶ原に消えゆくふたり



砂浜に打ち上げられる夕焼けの淡い波間に拒まれながら



恋人とゆったり昼寝するまひる 巨大タンカー上の雨雲



ユリイカじゃないんだ過去世その通り秘密の密は蜜に似ている



着信音途切れ途 切れに暗闇へ消えゆく風の轟く井戸へ



誰ひとりいない荒野で目覚めれば千年杉のごとき虚無感



不都合な予定と予定でないものがひしめきうごめく人類関係



病室に微かに響くさざなみを明日にさよなら言うひとと聴く



心地よい音楽まるで暖かい水中に咲くマリーゴールド






短歌 連綿不在 Copyright 本木はじめ 2008-01-20 18:38:09
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