気配 No.9
小川 葉

水道から
気配が流れている

ドドドドド、
どどどどど、
ドノドノドノ、
どのふねの、

私は乗る
その笛に
湯舟、に注がれる
湯布院
ああ、何故
ユフイン、

ナノダ
世界ナノだ
七日、
過ぎ去りて
ナノカ

あ、そうそう、


蛇口を閉め
気配を止め、
富める国の肉を
乙女、オトメサン
に頼んで
煮たので

湯舟の底に
ふういん
それから
やはり

毛が生えている
煮たまご
なんだこれは
毛皮が
汚らわしく
愛おしく
ケガしてる
たくさんのきみたちは
ひとりのタワシナノ

タワシタワシ
ワタシタワシ

ワタシデ
タノシンデ
シンデ
シンデレラ
レラ
れられろと
どの喉が
のどかに

こんなにも
サンタモニカまで逃げて、逃げて逃げて
脱がされて

いました。
下の舌
までおよぶ
蜜、白玉が
舌の下へ
ふかく不覚
したたかに

ドドドドド、

でした。


自由詩 気配 No.9 Copyright 小川 葉 2008-01-06 02:34:21
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