こがね ゆくえ
木立 悟




陽は傾いて
粒の影たち
熱の在り処
闇のなかの
四角をまさぐる


目をさがしていた
水のなかにそれはあった
触れようとしたら
沈んでいった
今もそこにありつづける
ずっとそこに ありつづける


空には何もなく
風が飛ばすものだけが
水へ落ちつづけている
音でも色でもないものが震え
こがねにこがねを降らせている


光の傘が静かにうつむき
水の行方を見つめている
一方を得て 一方を失う
元にもどる術のない水
変わることの哀しみの水


目のかたちの火が
霧を昇る
こがねのなかに
かたちを残す
小さく 淡く
かたちは鳴る


空が空を両手ですくい
いくつかの器に入れてゆく
器は円を描いては並び
粒の影に触れては唱い
水底の目をこがねに揺らす














自由詩 こがね ゆくえ Copyright 木立 悟 2008-01-05 20:52:50
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