夜の自転車置き場
ネット詩の悪魔

午後11時
駅を降りる
日付が変わる前に
帰宅できるのは珍しい

改札を出る
駅前は閑散としている
暗い
元々店は少なく
その少ない店も
すでにみな閉まっている
コンビニさえない
家族待ちの車が
ロータリーに2、3台
エンジンの音が響く

自転車置場で
記憶の糸を辿り
自分の自転車を見つけ出す
鞄の中を引っかき回し
鍵を見つけ
引っ張り出す

隣の自転車をずらし
後輪の鍵を開け
スタンドを上げ
自転車を引っ張り出す

ハンドルが左右の自転車の
ハンドルやシートに引っかかる
無理やり引っ張ると
右側の自転車が倒れ
何台か将棋倒しになるが
完全には引っ繰り返らない
面倒なので見なかったことにして
ペダルに足をかけ
サドルに座り
そのまま走り去る
しかし自転車置場の入り口近くで
ラインをはみ出した自転車に
ペダルが接触し
再びその自転車が倒れる
しかしもう夜も遅いので
そのまま何事もなかったように走り去る
夜の自転車置場では
よくある光景だ


自由詩 夜の自転車置き場 Copyright ネット詩の悪魔 2008-01-04 03:39:16
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