カモノハシのパンセ1
佐々宝砂

社会がゆがんでなかった時代、大人も子どももとても健全だった時代、精神病者がいなかった時代、戦争がなかった時代、ヒトがヒトを殺さなかった時代、そんな時代、いつあった?

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実質上、不快な言葉と詩的な言葉には違いがない。ありがとうとばかやろうに詩的な意味での違いはない。

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今日の私はなるほど苛々しているが、少なくとも、正義のために人を殺したりはしないだろう。
 
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素直になりたいと思うときがある。しかし私は好きな相手にはきちんと自分の意志を伝えられるから、そういう意味での素直ではない。他人の言うことを素直にきくという意味でもない。私は自分の動物的直観に素直でありたい。でもそんなこと無理だから、私は今日も不本意なことをやり続ける。私の動物的直観はずっと危険近しと訴えている。

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いったいどこに、守るべきもの、葬るべきものがあるというのだろう。ものはあるがままにあるがいずれすべて滅びる。
放っておけ。瞬間的な明滅を愛でることだけが我々に許されたことだ。

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信じてもいない神さま、ありがとう、感謝します。

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私の役割をこなす代役はいくらでもいる。私そのものは一人しかいなくても。

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私と全く同一の存在が一万人いても一億人いても私は別に落ち込まない。そーゆー理由で落ち込む精神状態がわからない。私は特別だし特別じゃない。禅問答みたい。そんなことどうでもいい。

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二交代で夜九時から朝九時まで働くと、革命起こす元気なんかありませんわ。
 
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発展途上の三十八歳はまだ成長して将来いい女になるのだっ!

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私は未来にしか進めないタイムマシンに乗りっぱなし。

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私が、クソでカスでゴミでチンケでヘボで陳腐なバカSFを愛するように、また、クソでカスでゴミでチンケでヘボで陳腐な最低ホラーを心から愛するように、それらと同じように、クソでカスでゴミでチンケでヘボで陳腐な腐れポエムを愛せるようになりたい。

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私はきっと軽い人間なので、愛することならできるとおもう、
でも信じることはできないとおもう。

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別に強くなんなくてもいいよ。と言いながら、私も強くなりたいんだな。

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私が消えると幸せになるひとがいるなとおもう。でも私は私のために生きているので、消えるわけにはいかない。

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殴っても潰れない人に出会うとうれしい。真剣にうれしい。ものすごくうれしい。

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精神論はキライ。実際的で即物的な話がすき。だけど抽象画はきれいだとおもう。キレイなものはすき。

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人生を狂わせているのは私だと思う。私の人生を? ううん、私に関わる人々の人生を。

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ヒトがソレをなんと呼ぼうと、冥王星は消えてなくなりやしない。

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世の中に重いも軽いもありゃあしない。軽く見るやつぁ勝手に見とけ。

芸術だけが詩じゃあるまい、箸にも棒にもかからんクソポエムだって詩の一種だ、詩人ですらも人間の一種であるように。

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私を救うのは人だ。

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わたしはナパームになりたい。

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利用できるもんならなんでも利用するぞ。宗教でも科学でも憎悪でも笑いでも。


                               (2006.12)


散文(批評随筆小説等) カモノハシのパンセ1 Copyright 佐々宝砂 2007-12-22 01:25:33
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