おっぱい
虹村 凌

嘲笑と自分で生み出した言葉の海の中で溺れて眠る
冷たい階段の踊り場で目を閉じて
眠る

通りすがりのブラザーが俺に聞いたんだ
「よォ兄弟、歌は好きかい?」って
だから俺は答えたんだ
「天国のドアって聞いてヴァギナを連想できたら詩人だよ」

韻が踏めないネコも踏めない
でもウンコと絵だけは踏めたよ
ガムは踏んだ事が無いんだけどね

精神科の女医さんが俺に言うんだ
「セックスの不足があなたをそうさせるのよ」って
どうしろってんだ
バカにしてやがる
俺は彼女の乳首を噛み千切って診察室を後にした

そう
俺はその診察室を後にしたんだ
その筈なのに
いつのまにか百貨店の大階段の踊り場で
みんなの嘲笑と
自分自身で生み出した言葉の海に溺れながら
マネキン人形の白くて冷たいおっぱいの中で
眠りに落ちつつあったんだ


自由詩 おっぱい Copyright 虹村 凌 2007-12-21 23:24:37
notebook Home