準備
たもつ

時計は空を飛んだ
時間のことなどすっかり忘れて

町工場の青い屋根と
遊園地の小さな乗り物と
チャペルへと向かう花嫁が見えた
風景はずっと続いているようだった

やがて良い感じのする原っぱに
時計は滑らかな着陸をした
落ち葉を踏んで
乾いた音がした

それから時計として
静かに朽ち果てていく準備を始めた


自由詩 準備 Copyright たもつ 2007-12-18 19:47:47
notebook Home 戻る