イブの憂鬱
渡 ひろこ

近づくクリスマス・イブに
街は華やいでいる
通りを歩くカップルは
皆 幸せそう


艶やかなイルミネーション
眩しいツリーのショウウインドウ


きらびやかな中に
とり残されているようで
そっと自分の肩を抱く


そう…まるでお伽話のマッチ売りの少女
マッチを擦るたびに
儚い夢が現れては消えていく


香ばしい薫りのカフェにも
可愛い小物のショップにも
笑い声で賑わう街に
自分の居場所がなくて


外気の冷たさに寄り添おうと
回転ドアを押しても
街灯さえもMERRY X’MASと飾られて
作り笑いをなげかける


隣にいて欲しい人を
人ごみの中にさがしても
幻影だけが浮かぶだけ


  

   シャンパンは 一人じゃ開けられない
   今夜 あの人は誰と過ごすの…
   



溜め息ついて夜空を仰いでも
都会のネオンに
星の瞬きも奪われて


孤独なイブ
マッチを擦るように
哀しみの火が
ほのかに
ついては消えていく




自由詩 イブの憂鬱 Copyright 渡 ひろこ 2007-12-18 13:54:29
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