暁の空
川口 掌

     


朝焼けの 光の中に 立つ影は 鏡を無くし 空を見上げる




あなたの言葉が 今も 耳に残る
点滅する街燈の 下は 黄昏時
じっと見ていた あなたの顔を 遠ざかっていく
近づく距離を 限定された 友達関係

風が 眠りつく事も かなわず更けていく
岸との距離を 足元を冷やしながら 笑い声を伴い
夜が 幾条もの筋を 抜けて行く
川辺に小舟を 浮かべ 測り続ける

忘却の 彼方へ このまま流されよう
涙の川の 水嵩を増しながら ついそう思う
岸辺から 投げられた 一本のロープは

離される 事の無くなった 距離を
手繰り寄せる 或いは引き寄せられる まで待ち続ける
少しの希望 握ったまま 今もたゆたう




港町 鴎も眠る 朝凪に 霧笛轟く 暁の空

国離れ 見上げる空に 星一つ 君も見てるか 暁の空


声を聴き 姿を眺め 落とす露 拳も振るえ 暁の空


抱きしめる 温もり貰い 眠る夜 心結ばれ 暁の空

赤子泣き 何時かの未来に 笑み浮かべ 今夜も眠れぬ 暁の空


吹く風は 岬を越えて 山越えて 枝葉も揺れる 暁の空





自由詩 暁の空 Copyright 川口 掌 2007-12-14 12:31:55
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