瘴気の壁
狩心

唾液
の中に
残る記憶が
行き場を失って
外に
吐き出される

消滅音は
未来
店頭に並ぶ

果物が
口の中で
溺れて

切れた唇
上手く発音できない
歯は
トウモロコシのように変色し
胃の中へ
零れ落ちていく

食道
アスファルトを弾く
弦楽器に合わせて
オペラ

雪だね
冬なのに
僕は海岸線沿いに居る
穴だね
地中奥深く
空の皮膚に
誰の顔が見える

テスト
子供が駆け込んでくる
満点だったって
大喜びで
その時
私は微笑む事ができるだろうか
君の未来


自由詩 瘴気の壁 Copyright 狩心 2007-12-14 12:24:58
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