うすいスープ
フユナ

こどもたちが
口を真っ赤にしながら
園庭であそんでいる
誰かをつかまえ
気に食わなければ噛みつくために


こどもたちは
細い睫毛にひとつずつ
金銀の王冠をつけており
その毛並みはどんな王者にも
負けることはない


ひときわ
うつくしいこどもが
逃げ出した白く肉付いた腕をとり
歯を立てる
睫毛の王冠が
灼熱の色を湛えた


痛いことしちゃだめよ、
と女が首を掴む、
それすらもこどもは見返す
激しい憎しみを忘れた女を
痛めつけることを判りぬいた目で


昼の時間
スープを飲んだこどもが
不機嫌な顔つきで
顔を あげる
歯を立てられたこどもが
ひどく青ざめた王冠を
こちらに向けていた


ひどくうすいスープだな
この血を薄めるよう
この場所で飲まされるのは


午後
こどもたちが
口を真っ赤にしながら
園庭であそんでいる
それすらもうすめようと
大人は
水を撒いている








自由詩 うすいスープ Copyright フユナ 2007-12-12 15:42:44
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