幸福装置
山崎 風雅

 広告に
 
 幸福装置ついに完成!是非お買い求めください!
 どんなに不幸な方でも必ず幸福になります!!

 と、出ていた。
 競馬で勝って、懐が暖かかったので買うことにした。

 さて、配送された幸福装置とやらをみると
 小さな仏壇のような形をしていて、中央に赤いボタンが一つ付いていた。
 説明書を読むと、このボタンを押すと、幸せになるらしい

 ちょっと、当てがはずれた。もっと、小難しい装置かと思っていたが、いたってシンプル。
 ま、いいか。今度は期待が擡げてきた。どんな風に幸せになるんだろう。
 お金がいっぱい手に入るのか、すごい美人の彼女が出きるのか。

 慎重に赤いボタンを押してみる。

 ……。

 何もおこらない。

 もう、1回押してみた。

 ……。

 やはり、何も変わらない。

 おかしいじゃないか。
 メーカーに電話で問い合わせてみた。
 
 この装置、壊れてますよ!全然、幸せになりませんよ!

 >え?ちゃんとボタン押しました?
 
 押しましたよ。

 >それじゃ、もう、幸せになってますよ。

 全然、変わらないじゃないか!

 >それは、お客さん、気付かないだけですよ。今、不幸ですか?食べるものに困ってますか?
 住むとこに困ってますか?殺されかかってますか?世の中には、今にも、死にそうなほど、
 苦しんでる人がいっぱいいるんですよ。お客さん、幸せじゃないですか。幸福装置は
 正常です!

 電話を切られてしまった。
 
 なるほど、確かに、本当に困っている人からみたら、自分は幸福だ。ちょっと、サギにあった
 ようなもんだが、洒落としては、おもしろい。この装置のおかげで、自分が不幸じゃないこと
 を確められたからな。
 
 さぁ、寝るか。。


 
 


自由詩 幸福装置 Copyright 山崎 風雅 2007-12-11 22:56:48
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