「10秒」
菊尾

抜け道ばかり寄っている
レールの上での死体遊びは
まるで雲から落とされたみたい
砂利でさえ破れていくよ

林檎が転がる
赤い林檎は点になる
床の上で転がしたビー玉みたいに
なんだって回って回って
僕の眼は追うことに必死です
僕の手は掴むことに必死です
足が付いていかない事に気付かずに
僕自身も転がり続けるのです

纏う空気は虚空の空気
それを哀しいと言うのかい
状態は錠剤塗れ
食べこぼしたのは擬似的な美しさ
飲み込んでいるのはいつかの涙
それを
悲しまなくてもいいよ

機影が轢いて行く
あんな場所から落ちてきた
なんだ
遠くもなかったんだ
秒単位で始まり終わる世界
10秒後には何してる?


自由詩 「10秒」 Copyright 菊尾 2007-12-10 05:33:10
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