雨宿り
水口わする

通り雨に打たれ駆け込んだ小屋には土の臭いが染み付いていた
雨水を吸い込んだ地面は懐かしさを醸し出す

ぞっとしたのは呼吸を感じたから
深い土色をした男がこちらを伺っていた
恐怖を感じなかったのは静かな目をしていたから

何をしているのかと尋ねたら

かえりたい と

男の指は小枝のようで
爪の辺りに微かな緑があった

少しずつ枯れている


雨が止んだよ

おじゃましました


土の匂いが離れない






自由詩 雨宿り Copyright 水口わする 2007-12-07 04:34:56
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