そっとやってきた
アキラ

買った父が誇らしげに笑う。ぎゅっとつまった、初みかんの味。

暮れどきに見た木の、やわらかな色彩に、心からこの町をいとしいと思う。

天気予報見ずに失敗した、とふるえるあなたに、この赤いマフラーを。

好きな季節を「秋!」と即答した頃は、揺れる切なさをまだ知らなかった。

振り向けば町の色が、冷白色に。ほらまた冬が、そっとやってきた。


短歌 そっとやってきた Copyright アキラ 2007-12-06 04:20:40
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