『真昼の星』
東雲 李葉

真昼の空を仰ぐ。星はどこにもないけれど、
見えないだけで本当はそこら中に溢れているんだ。
どんなに視力を上げたって見つからない、
高性能な望遠鏡もどんなレンズも役に立たない。
君には聞こえるかな。感受性の乏しいこの詩が。
乾ききった唇じゃそんなに遠くまで飛べないけど。
せめて欠片だけでも拾ってやってくれないか。
誰かに認めてもらわなきゃ今にも消えてしまいそう。

真昼の空を仰ぐ。星はどこにもないけれど、
本当は今日の夜にも星はないのかもしれない。
青い青い青い 空に溺れそう。
真冬の空は作り物みたいに澄んだ色。
君は知っているかな。名もない詩人のこと。
たとえ名前を持っていても忘れ去られる彼のこと。
その彼が君に青を届けたいと言う。
僕を経由で届いても決して名前を聞いちゃだめだよ。

真昼の空を仰ぐ。星はどこにもないから、
天地が入れ替わってもだれも気付かないんじゃないか。
それこそ母なる海に眠ることができたなら、
それは本望じゃないか。ねぇ、どう思う?
君には届いているのかな。雲一つない青の詩。
渇ききった喉が満ちたらそっと、空に指を浸してみて。
もしも真昼の星を見つけたときには、
小さな小さな彼のことをそっと君だけに教えてあげる。


自由詩 『真昼の星』 Copyright 東雲 李葉 2007-12-05 23:09:57
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