双響
木立 悟






逆さまの絵が文字になり唱になり降り来るを視るひとりけだもの



かけらからかけらを生むはおのれなり触れもせぬまま砕きつづけて



水涸れて見えぬ片目に見えるもの音を紡いだ夜のまぶしさ



水音でかれた無数の葉脈が降り来るたびに火を増してゆく



花となり骨となるもの降りそそぎひとりのせなに記す行跡



自身では知る術のない傷の譜を癒すことなく奏でる穂に会え



冬さえも空さえも裂く言の葉でおまえはおまえのけだものに会え



導きを棄てる導き踏みしめて穂へつづく道けだものの道










短歌 双響 Copyright 木立 悟 2007-12-02 23:52:58
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