「ポロン」
菊尾

綺麗な貝殻
波に攫われてしまう前に
拾いに出かけなくちゃ

奪われていく世界では
上昇志向の生き物だけが残っていくみたい
それ以外はどこへ放棄されていくの?
嫌いたいなら話しかけないで
優しい言葉は時に毒

透明の雨玉
弾けて割れて
取り扱いは繊細に
ポロンってひとり言みたいにピアノが聞こえる
雨の中の幾つかは
そんな音を鳴らしながら落ちていく

沈んでも浮き上がる
誰かが投げた浮き輪に掴まって
プカプカどこかへ流されたって
そのまま揺られて
適当に吹かれるまま任せるよ

草笛で作るメロディー
誰かの笑い声に似ていたから
僕も笑った


自由詩 「ポロン」 Copyright 菊尾 2007-11-25 04:54:32
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