安息
霜天

空にはたくさんの色があった
傾いたその縁に支えられたのはいつだっけ
鉄塔が突き刺さった夕日
思い出せないほど前から続く
そんな夕暮れ


帰ろう
が口癖だった頃
いつも隣のあの人が
どんな顔をしてたか
はっきりとしない
歩くペースはゆっくりで
それだけは覚えてる

夕暮れ沿いの坂道を
郵便配達の赤い車が
ごとごとごと
駆け上がるわけでもなく
止まるんじゃないかって
そんなペースで

あの頃それがぴったりだったのは
どこかで一休みしたかったからなのかもしれない
お互いに


今日も
夕日に鉄塔が突き刺さる
帰ろう
口癖は簡単には消えないみたいだ


自由詩 安息 Copyright 霜天 2004-06-13 16:53:07
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