おばけ屋敷
狩心

歯磨きがしたいんだ!
私の中に眠るマントヒヒ
私は子猿なんかじゃない
指は舐めない
でも、上目遣いはする
マントヒヒのお母さんが
家出娘の私を探してる
ような気がするよ?
だってそうじゃないと
淋しすぎるから

お母さん、こっちは冬です
そっちは砂漠ですか?
南の方に行くと
暖かい国があるそうです
一日一歩ずつ
南に向かって歩いています
見えてくるのは
冷え切った都会ばかりです
差し伸べられる手は
障子から突き出た百本の手
おばけ屋敷によくある
あれです
そこにいる人達はみんな
幽霊になるんですって
自分の存在を消すか
人を驚かす事ばかり考えてるって聞きました
障子を破って、手を伸ばして、何かを求めてる、シルエット
わたしもその、一員でしょうか


自由詩 おばけ屋敷 Copyright 狩心 2007-11-23 13:05:51
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