待ち時間
塔野夏子
白い楽屋の中
蒼ざめた哲学がひとりきり
鏡の前に坐っている
しばらく目を閉じることと
目を開け 鏡に映る自分の貌を見つめることを
繰り返している
楽屋から舞台への通路には憂鬱な霧が立ち籠めている
舞台上の書き割りには螺旋階段だけが描かれている
自由詩
待ち時間
Copyright
塔野夏子
2007-11-23 11:50:59