線路
木屋 亞万

ここに線路がある
砕石が敷かれ
枕木が均等に並び
二本の金属が延びる
電気もあるのに
走る物がない
ただ線路があるだけ

男が一人
石を撒いて木を置いて
二本の線を固定する
誰かに使われる日を
待ちながら作り続ける

ふと電車が走る
街から逃げ出す人と
立ち向かう人を乗せて
しばらく行くと
線路が途切れた
しばらくとは言っても
全速力で小一時間
走れたのだから
中々のもの

線路がなければ
電車は止まり
しばらく荒野だけがある
もう少し行くと
また
男が一人
そこら辺にある木を
全て切り倒し
石を砕く

汽笛を遠くに聞きながら


自由詩 線路 Copyright 木屋 亞万 2007-11-23 00:17:40
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