「側面」
菊尾

寝息を立てられるぐらい
安心できるみたい
消え入りそう
でも確かに掴める
そういった存在だけが僕に映っていた

君は拾うために全てを投げ捨てた
今まで手にした全部を投げ捨てた
肩に落ちた枯葉
伸ばしていた爪と髪
今日を見送るように
歩道橋から夕焼けを眺めていたんだ

照準も定まらないままで
ただ闇雲に投げつけて
勝手な理屈を事象の理由にして


「そんな風には生きられない」
生きようとさえしないのに
見覚えの無い傷は増えていく
僕には術がないことを知る


間違うように
繰り返すように
そうやって動いている
最初の雨粒が染み付いたまま
その視界に触れていたいと願っていた


きっとあの日がまた来れば
どうにかなってしまうだろう
今度があるならば普通に、
正常に、
君にただ、魅せられたい


自由詩 「側面」 Copyright 菊尾 2007-11-22 20:29:58
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