ミミズ腫れの美少年の隣り
ヨルノテガム






逃げた小鳥の籠を舐めている
ミミズ腫れの美少年の隣りに
少年が姉さんと呼ぶ女が朽ち果てながらも
逆に「兄さん」と優しく連呼してくる

ミミズ腫れが
いやらしい汽笛を鳴らす

甘くないミミズ腫れに
甘い美少年の
甘すぎない隣りの

うごめくミミズの冒険の一匹は
ミミズ腫れに先祖のアンモナイトを発見した
隣りで美少年は宝くじで夢精する


わからないように
   ミミズ腫れの美少年の隣りの
女も母さんも姉さんも居らず
   ミミズ腫れが美少年の隣りの
どうすれば
   ミミズ腫れが美少年の隣りに


いやらしい触手が美しい少年の顔色をうかがいながら
おちんちの時計の針をぐるぐるぐるん かき回す
ミミズ腫れの美少年の隣りで
声は 小鳥が逃げていく、小鳥が死んでしまう、と
小鳥、コトリ、コトリ、と何羽もが
籠を壊しにかかった

ミミズ腫れの美少年の隣りで
溺死したその美少年の身体が無人島に漂着した
いやらしく濡れ出した舌でミミズ腫れを探したが
もう隠れている

性急に、もっと性急に

乱暴にでも

似つかわしい冒険がまだ必要であった













自由詩 ミミズ腫れの美少年の隣り Copyright ヨルノテガム 2007-11-22 17:14:47
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