穏やかな悪魔は
とてもゆったりゆらゆら揺れながら
人々の心臓を体内から引きちぎっていく

たくさんの悲鳴と
飛び散った体液でそこら中が真っ赤に染まる

それはまるで戦場のようだ


一人の女が悪魔に命ごいをした
悪魔はそれはそれは穏やかな顔で
女の頬に手をあてると
女はいくらか安堵したように笑みを浮かべた

悪魔は女に軽く抱擁をして
慈愛に満ちた表情を浮かべながら
躊躇なく女の心臓をエグリだした


女は断末魔をあげることなく
何が起こったのかを理解する前に果てた


悪魔は集めた心臓を持ち帰って
悪魔の子供達に食べさせた


穏やかな日常…
穏やかな殺戮…
穏やかな食卓…


美味しそうに食べる子供達を見るのが
悪魔にとって最高の幸せなのだ


悪魔が通り過ぎた街は
一夜明けると元通り
大勢の人で賑わっている

穏やかな営み………
穏やかな日常………
穏やかな戦場………


悪魔は今日も
ゆったりゆらゆらやってくる