飼い主と犬 
服部 剛

中年サラリーマンの膝上に 
大事に抱えたバスケットのふたを開け 
ひょっこり子犬は顔を出す

うたた寝首を垂れている 
飼い主の顔をうかがい 
時折子犬は体を反らす

何処いずこへ運ばれゆくのやら 
どんな明日が待つのやら 

仕草に気づいた飼い主は 
毛なみをそっと撫でてやり 
子犬はあくびをひとつ 

すべてをゆだねるように 
開いた蓋の底に 
子犬は顔をうずめた 








自由詩 飼い主と犬  Copyright 服部 剛 2007-11-20 20:32:26
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