一粒の太陽
服部 剛
机の上に置かれた
飲みかけの水がゆれるグラスに
一粒の太陽がひかる
パスタ屋の2階から見下ろす
銀杏並木の道を
まっすぐに人々は
みえないものに押されるように
それぞれの背中が小さくなる
布地のブラインドに
朧
(
おぼろ
)
な太陽
先月まで
銀杏並木の塀沿いの
並んだ家にいた友は
今頃パリの
一部屋
(
ひとへや
)
で
あくびの口を開くだろうか
遠い異国にいる友よ
このパスタ屋の
机の上のグラスにひかる
一粒の太陽は
明日のパリを覆う雲間から顔を出し
君の朧な朝を照らすだろう
自由詩
一粒の太陽
Copyright
服部 剛
2007-11-19 20:31:22
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