バター。青色
水町綜助

道路に落ちたセーター

片足だけのくつ

ブルーがつよすぎてこまる


町では
たくさんの
自転車が
倒れてる

BBSは
宗教戦争に負けて
家を飛び出した

おれは借り物のベンツを転がして
父親の墓参りをしてる

たくさんの墓石の稜線がくつきり空を噛んで
歯型

射抜くように発光した横なぎの

白光

全身に受けて
強いていえば
糞だ

高架は金色だ

噎せかえるような気持ちは

今年の

小汚い紅葉

広い交差点を曲がれば

西日が

蒸発させる

まなこの水分を


バカ みたいに晴れてる


霊園にはこんなにも

死体があって

それでもあたらしい死体を受け入れる
というのに

バカみたいに晴れてる



パンの焼き方を教えてくれ
どんな材料からつくるのか
挽いた小麦?

後はしらないんだ


こねて
丸く
形を作って
オーブンで
赤く
焼いて
ふくらんだら
おれは
バターを塗る
ショーケースに並べ
つやつやした
丸いパンに
窓越しの冬の空が映れば
うまく映らないから
ちょうどおれの言う青い色で
うんざりするよ




自由詩 バター。青色 Copyright 水町綜助 2007-11-19 02:50:21
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