宇都宮餃子ツアー
ふぁんバーバー

このまま行けば
東北だけど
宇都宮で降りてしまった
理由はない
餃子が食べたかったわけじゃないわ

雨でした
つめたい雨
季節が都会ではわからないなんて嘘
道行くひとの服のいろ
空気の濃淡
田舎のころは気づかなかった
季節のにおい
餃子が食べたかったわけじゃないわ

「このままじゃ後悔しないだけの人生じゃん」
反省しないだけのきみは
そんな捨て台詞
去っていこうとしてたのは
わたしの方だったのに
いつものこじゃれたお店で
いつものこじゃれたお料理
なにも手をつけられなかった
餃子が食べたかったわけじゃないわ

パルコを過ぎて
地下に降りれば
家族連れも
女子高生も
みんな餃子を待っている
わたしがこんなに濡れているのは
けして
餃子を食べたかったわけじゃないわ

ひとりで
四皿もたいらげて
ただぼんやりと
帰りの電車が混まなきゃいいなとかんがえている
におうだろうし
べつに
餃子を食べたかったわけじゃないわ


このまま行けば
結婚だけど
途中で降りてしまった
理由はない
餃子が食べたかったわけじゃないわ






自由詩 宇都宮餃子ツアー Copyright ふぁんバーバー 2007-11-16 20:47:08
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