わたしがわたしを忘れて
よしおかさくら

わたしが
わたしを忘れるようになって
それでいい
あなたの声がする
欲しいものなんかない
わたしは空を見上げて
空の
落ちてくるのを待っている
運がなければ果物のひとつも
ねえ
言葉の一文字も無駄遣いしたくない
口から出任せという姿になりたい
それでいい
あなたの声
なんて深いんだろ
なんで忘れたりしないんだろ
穏やかな湖に
まだ自分を置いている
疑う心はこの水から現れる
手に取り
飲み干すことも
沸かすこともなく
ただある
わたしがわたしを忘れるようになって
忘れられなくなってから
ただある
すれ違う目を見ている


自由詩 わたしがわたしを忘れて Copyright よしおかさくら 2007-11-15 14:38:48
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