起きぬ翁
udegeuneru
吉野家でじじいがぶっ倒れていて
救急隊員と警察が何人か集まってた
どこか弛緩したような空気
まあこの人らからすれば日常茶飯事なのだろう
また道往く人は無関心で
じじいがここで死のうが復活しようが
自分の人生とは何の因果もない
などと、いちいち考えてはいないが
無意識でそう判断している
果たしてそうだろうか?
俺は死んでるかどうかだけでも見とこうと立ち止まり
覗き込んで様子を見たけれどあまり分からない
隊員の膝の上で動かないじじい
俺は警察と隊員に訝しげな目で見られ
そのまま立ち去った
じじいの生死と俺の精子には
何の因果もない
きっとそうだろう
立ち去る俺
警察と隊員
動かないじじい
夜更け
やっぱ警察か隊員どっちかに話しかければ良かったと思いながら
硬く澄んだ音の粒により眠りに誘われる
硬く澄んだ眠り
動かないじじいは
輪廻転生により
俺より15歳も年下の、警察の娘
と俺の子として
13年後に生まれる
ちなみにその時破水した妻を病院に運んだのは
あの救急隊員である
という夢を見た
などというようなことを俺は文章化して
自由詩として詩投稿サイトに投稿している
ここで分かることがある
じじいの死と俺の詩には直接の因果関係が成立している
それは取りも直さず、俺の人生とも因果があるということだ
じじい「勝手に殺すなー」