日没の影で
結城 森士

サヨナラ
黄色い雨と共に木の葉が落ちてくる
静かに影を空に灯す

ライブハウスの狂ったイチゴ






『夕影』

ため息が凍え白く堕ち
駅で大きな魚類が微笑みかけた
傘が白骨化し
使い物にならなくなった日
僕も清掃車に収集された

集積所には子猫の屍骸が
濁った白い目をずっと僕に向けていた
見ると子猫は劣化した容器と化していた
紙飛行機は大空を飛べるはずだった
赤いマフラーは不躾なことに
恐れ多くも人間になろうと思ってしまった
結局彼は赤い花にさえなれなかった
電信柱は人を憎んでいた
しかし仕事の都合で度々電車に乗っていた
少年用のグローブは長い間父親を探していた
50年も前からずっと父親を探しているが
最近では自分に父親なるものが存在していたのか
それさえ分からなくなって
次第に感情そのものが薄れていった
そしてついに自殺した
昨日のことだ

僕達は土へ帰るために気が狂いそうになるのを耐え続けた
ビールの空き缶とカップ麺の容器が呟いた
死ぬ前に一度だけでいいから呼吸をさせてほしい


未詩・独白 日没の影で Copyright 結城 森士 2007-11-13 02:12:14
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