'07夏・句集
しろう
しりとりをしてもひとり。
カレー食う、ひとよひとよにひとりみの
歯ブラシにシェービングジェル、五月雨の朝
銀の雨紫陽花染むるレクイエムか
傘を振りソールが弾く音、てゅるりらっ
スイカをポケットにつめて走り出す
宮島で鹿とツーショット吾は馬
紫煙さえも入道雲の如く、夏
錆びたらどうなる流れる血脈
こおろぎのなんてさびしい夜なんだ
息をする、やっぱりちょっと面白い
なぁ、もうちょっとだけ頑張ろうな。俺
窓打ちぬ大風のリズムで歌はむ
傘失せて嵐の空はねずみ色
鉄塔にひとつ雲ぶらさがりつつ晩夏
「いつの日か垣根にならん」木を植ゑたり
庭の草刈りて亡き母を偲びぬ
そぼ雨に蝉の唄を聴く帰り道
夜毎に腐っていくメロンの匂い
to be or not to be それは問題ではない
橋脚に打ち付ける釘、雨粒よ
余生のような顔したイナダ
降る雨に深く帽子をかたつむり