三角関係
狩心
現在は遠く離れてしまい
過去が目の前に現れた
どんなフィルターも通さない
深い信頼に満ちた現在は
地球上に舞い降りた天使で
絶え間なく優しさを降り注ぐ
太陽のようであったが
一つの闇
一つの孤独
一つの危険の前で 匂いを失い
アルバムの写真が 映像で動き出してしまう
裏切りか 裏切られたのか 別れるか 結婚するのか
愛は一つではなかったし 心は極端な選択肢を紡ぎ出す
会える者が会えない者を追い出そうとする
囁きは 本当だろうか この目は 錯覚を引き起こしてないか
三角が逆三角になって 一人で二人を支えることを考え始める
一つの幸せを選び取る時 もう一つの幸せを 破壊してしまう
過去も現在も 沈黙する未来の前では 存在できない
現在が近付いて来る 夢の中で 過去が遠ざかって泣いた
一人寂しそうな振りをして そんなんじゃ 放っとけないよ
未来が過去の方へ一歩歩き出すと 現在の顔は一気に曇り
半べそかきながら叫び始める 行かないで! 行っちゃやだ!
未来はテレビドラマのように 撮影されているのかもしれない
不器用な未来は 一つの幸せを選び取る事が出来ない
全てを抱き抱えるか 何も選ばずに その場から立ち去るか
自分勝手になれない自分勝手さに 流石の蟻も驚いて 行列を作った
蟻さん 僕はどうしたらいいんでしょうか
立ち去るのがいいだろう 立ち去って その時に
追いかけてくるものが何か 見定めるのはどう?
立ち去ったら多分 誰も追いかけて来ないと思う
そうか では
君は今 夢を見ている 力強く 儚い夢だ
熱く 冷やかに 目覚める事を祈るよ
蟻の行列は爺臭い
残酷な子供達に踏まれても
何も言わずに ただひたすらに
隙間が空いた列を 黒でまた 埋めるのみ
そこで暗転 砂嵐 テレビのスイッチを消す
テレビ画面は四角で統一されている事に気付き
それが収まりがいいと 一般の観客は言った
今度また 結論のある物語の観客席に座ると言う
そのチケット売ってくれませんか
手に入れた四角いチケットは 妙に手の平に突き刺さった
僕らは尖っていた
方向を見失いたくないから
矢印に似た形を求めていたんだ
僕らは平面的過ぎた
もし三角形が三角錐であったなら
炭酸水を注ぎ込み その気泡で 神経を麻痺させて
安らかに眠ったまま 生きていけたかもしれない
でも 僕らが選んだのは平面的な三角
飛び跳ねたり 沈んだりしない 同じ高さの一つの地平
そこは自問自答しながら学ぶ場で 僕らはその為に
出会ってしまったのかもしれない
そうさ 毎日を感情と共になんとなく生きていた僕らに
必要だった 選べないという選択肢
過去と未来と現在は 別々の方向へ歩き出す
三角形の頂点は 図形を拡大していく
僕らは三人で 一人の人間だった
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狩心 no まとめ 【 四 】